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最高裁判所第二小法廷 昭和28年(オ)363号 判決 1956年4月06日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告理由第一点について。

買主(被上告人)が排水探鉱の結果品質良好と認めたときは代金を支払うとの所論契約は、民法一三四条にいう「条件カ単ニ債務者ノ意思ノミニ係ル」ものとはいえない。所論は、右と異る独自の見解を主張するもであつて、採用できない。

同第三点について。

本件鉱業権が昭和一三年一月三一日国税徴収法に基く公売処分により訴外人に競落せられ、上告人岩成はすでにその権利者ではないとの事実は、上告人らが原審において主張しなかつた事実であるから、原判決には所論の違法はなく、論旨は理由がない。

同第五点について。

本件売買契約が成立した昭和一一年五月当時と原審の最終口頭弁論期日たる同二七年一〇月一五日当時との間に貨幣価値に著しい差異の存したことは顕著であるけれども、それだけで契約上の債権額が当然修正せられるものと解すべき現行法上の根拠はないから、所論は採用することはできない。

その他の論旨はすべて「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号乃至三号のいずれにも該当せず、又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 池田克)

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